♥ 大きな きゅうり

最近名残惜しそうに、大量の雨が降りますね。それも明け方特に。

昨日帰宅途中、寄りかかるように傘をさして立ってある年配の女性が気に

なり「失礼ですけど、具合でもお悪いですか？」と声を掛けました。

お顔が、蒼白に見えたのです。

その方が最初は「何？」という怪訝な顔で耳を傾けられたのですが、再度

御気分が悪いのかなと思って声を掛けさせてもらいましたと告げると、

「すぐそこの畑に定年退職をした６７歳の息子が、お母さん陽が当たる所

に種を蒔いとったからと言うので見に来たのですが、お恥ずかしながら見

て下さい。こんなに時期を過ぎてでかくなりすぎていてそれもたくさん成

ったまま、摘み取る事もしてないのです。

だからそれを摘み取り、持って帰ろうかと思って・・・」



「でも、よく育っているじゃないですか。素晴らしいですね。」そう言う

と「あなたそりゃぁ中学生が作ったのならまだしも、６０過ぎの人間がで

すよ。トマトも出来とりますけど途中の芽かきもしないでそのままだから

横に実をいっぱいつけて大きく成りきれません。まぁ何と言えばいいか」

そう言って悲しそうな顔をされます。

確かにお歳を尋ねると８７歳との事。何十年もそのお母さんは畑を護って

いらしたのでしょう。農業で言えばプロです。息子と言えどもサラリーマ

ンから第二の人生でのスタート。農業では一年生です。実年齢とは関係な

いと思います。でも、息子だからこそ上手に作って欲しいと願う親心もよ

く分かります。

「何十年も畑仕事をしてきたプロであるお母さんからすると、至らぬとこ

ろや口を出したくなる事もいっぱいおありでしょうけど、こんなにたくさ

ん少々サイズが規定外であっても、畑仕事１年生の息子さんが作った胡

瓜。素晴らしくないですか！経験を積んで上手になっていかれますから、

どんなに歳をとっていらしても１年生として褒めて育てていかれたら、

どんどん上手になって行かれますよ。それに、種は蒔いても中々芽が出な

いことを思ったら、上出来じゃないですか！」と言いました。

そした・・その方に笑顔がひろがって

「そんなに言って貰えたら、持って帰ろうかな。迷惑でなかったら少し

持って行って下さい。そうしてもらえると助かります」と２本頂きました

雨も降り、ビニールにはたくさんの写真以上の大きなきゅうりがいっぱい

詰まっていて、重いのと腹立たしいので立ちすくんでいらしたのだろうと

思い、荷物をお家までおもちしますよとお節介のしずくは申し出てその

ビニール袋を持ち上げようとしました。

すると私の手を取り、「勿体ない。バチがあたる」と何度もおしゃいます

１人さんのCDとかよく聞くようになって、人に親切にするのは当たり前だ

と思っているのですが・・。

荷物が軽くなるのと、心が重くなるのではこの方はまだ重い荷物を運ぶ方

が気が楽なのかな？！とそれ以上言うのを止め、胡瓜だけ頂き別れました

何処までが親切なのかなと考えちゃいますね。

きっと答えは一つではなく、ケースバイケースなのでしょうけど・・。

実は野菜室には買ったきゅうりと実家から届いた胡瓜が入っていたのです

が頂いたみずみずしい胡瓜で浅漬けとサラダを作り美味しく頂きました。

ご縁に感謝します。ありがとうございます。